人の頭の重さは、成人で 約4〜6kg、ボウリングの球1個分ほどあるとされる。この重さを、私たちは一日中ほぼ休みなく首で支えている。問題は、頭の位置が少し前に傾くだけで首にかかる負担が急激に増える点にある。
頭が体の真上に乗っている理想的な姿勢では、首の筋肉や関節にかかる負担は比較的少なく、頭の重さ(約5kg前後)を効率よく支えることができる。しかし、スマートフォンやパソコンを見る姿勢のように頭が前方へ傾くと、てこの原理が働き、首の後ろの筋肉が支える負荷は大きくなる。
整形外科や生体力学の研究では、頭が前方に傾く角度によって、首にかかる負担は次のように増加すると報告されている。
| 頭の前傾角度 | 首にかかる負荷の目安 |
|---|---|
| 0度(正しい姿勢) | 約4〜6kg |
| 15度前傾 | 約12kg |
| 30度前傾 | 約18kg |
| 45度前傾 | 約22kg |
| 60度前傾 | 約25〜27kg |
つまり、スマホをのぞき込む姿勢(約45〜60度前傾)では、首の筋肉は頭の重さの4〜5倍近い負荷を受けている計算になる。
この状態が長時間続くと、
・首や肩のこり
・頭痛
・背中の張り
・腕のしびれ
・姿勢の悪化(ストレートネック)
などの症状につながる可能性がある。近年、「スマホ首」「テキストネック」と呼ばれる症状が増えているのも、この負荷増大が関係していると考えられている。
さらに、首の筋肉は常に引き伸ばされた状態で緊張を強いられるため、血流が低下し疲労が蓄積しやすい。すると筋肉が硬くなり、さらに姿勢が崩れるという悪循環も起こる。
対策として重要なのは、首の筋トレよりもまず頭の位置を戻すことである。画面を目線の高さに上げる、背中を丸めない、1時間に一度は姿勢をリセットする、といった小さな習慣が首の負担軽減につながる。
首の筋肉は、毎日ボウリングの球を支え続けているようなものだ。そこにさらに何倍もの負荷をかけていないか、姿勢を一度見直してみる必要がある。


